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日別アーカイブ: 2025年4月21日

ぽのニュース~支援計画~

皆さんこんにちは。

【訪問看護ステーションぽの】の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~支援計画~

ということで、精神訪問看護において支援計画がなぜ重要なのか、その作成と運用に込めるべき視点やポイントを、現場に即した形で深く解説していきます。

 

「その人の人生を支える」ための道しるべ

精神訪問看護は、ただ体調を見守るだけのサービスではありません。
そこには、その人が“自分らしく地域で生きる”ことを支えるプロセスがあり、
その中心にあるのが、「支援計画」です。

「毎回訪問して、会話して、それで十分じゃないの?」
そんなふうに思うかもしれません。
けれど本当に大切なのは、“その訪問の積み重ねで、どこへ向かうのか”を可視化すること


✅ 支援計画とは? 〜看護の“設計図”であり、“対話の土台”

◾ 定義と役割

精神訪問看護における支援計画とは、
利用者の生活状況、健康状態、希望や課題に基づき、目標と支援内容を整理した文書のことです。

目的は大きく分けて3つ

  1. 利用者本人と支援者の「目標の共有」

  2. 看護師間・他職種間の「支援内容の統一」

  3. 支援の「評価と見直し」の基準となる

👉Point: 支援計画は「行政への提出のための書類」ではなく、
“生活と回復を支えるナビゲーション”なのです。


✅ なぜ精神訪問看護において支援計画が重要なのか?

🔸 1. 精神科支援には「個別性」と「長期性」が求められる

精神疾患のある方は、それぞれに異なる経歴・家庭環境・価値観・病状の波があります。

  • 統合失調症で家族と疎遠なAさん

  • 双極性障害で職場復帰を目指すBさん

  • ひきこもり傾向のある発達障害のCさん

支援計画は、“その人にとっての意味ある生活”をベースに設計されなければなりません。


🔸 2. 「何を支援するのか」が曖昧になると、支援の質が下がる

たとえば、毎回こうした訪問になっていないでしょうか?

  • 「特に変わりないですか?」→「はい、ないです」→雑談で終わる

  • 看護師ごとに対応が違い、本人が混乱

  • 訪問記録は“安定しています”の一言だけ

これは、支援の目的が共有されていない=計画が形骸化している状態です。


🔸 3. 本人の“リカバリー(回復)”を支えるための指針になる

精神訪問看護は、医療的な安定だけでなく、その人らしい生き方=リカバリーを支えることが求められます。

  • 「外出できるようになりたい」

  • 「朝起きて生活リズムを整えたい」

  • 「家族ともう一度話せるようになりたい」

これらの思いを“具体的な目標”に翻訳し、達成の道筋を見える化するのが支援計画です。


✅ 支援計画作成の5つの実践的ステップ

① アセスメントをもとに「現状」と「課題」を整理する

  • 症状の特徴と変動性

  • 日常生活の自立度(食事・金銭・服薬など)

  • 社会資源の活用状況

  • 本人の希望・不安・強み

👉Point: アセスメントは“事実の収集”、支援計画は“未来への設計”。


② 支援の「目標」を具体的かつ段階的に立てる

良くない例 よい例
社会参加を目指す 週1回の就労支援事業所への参加を目標にする
安定した生活を送る 毎朝7時に起き、朝食をとることを1ヶ月続ける

SMARTの法則も有効

  • S:具体的(Specific)

  • M:測定可能(Measurable)

  • A:達成可能(Achievable)

  • R:関連性がある(Relevant)

  • T:期限がある(Time-bound)


③ 訪問看護の「支援内容」を明確にする

  • 面接による生活リズムの調整支援

  • 服薬自己管理の確認と動機づけ

  • 家族関係の緩衝役としての傾聴

  • 医師との情報共有による再発予防策の立案

👉Point: 看護師が変わっても、支援の方向性がブレないようにする。


④ 定期的な「モニタリング」と「評価」を行う

  • 月1回のケースカンファレンス

  • 訪問記録からの振り返り

  • 本人との面談による進捗確認

  • 必要に応じた支援計画の更新


⑤ 本人への「見える化」と“当事者性”の尊重

  • 計画の一部を本人にも共有(簡略版)

  • 本人の目標や希望の変化をこまめに反映

  • 成果や変化をフィードバックすることで「できた」という実感を共有


✅ 支援計画が機能しているときに起きる“よい変化”

  • 利用者本人が「次の目標」を自分で語れるようになる

  • 訪問が“単なる見守り”から“成長の伴走”になる

  • 支援チームが同じ方向を向ける

  • 再発・再入院の予防につながる

  • 家族との関係や社会参加が少しずつ進む


✅ 支援計画は“その人の物語”を紡ぐ看護の羅針盤

精神訪問看護において支援計画とは、
単なる書類ではなく、その人の人生に並走する「地図」のような存在です。

そこに描くのは
☑ 病気を超えて、
☑ 社会の中で、
☑ 自分らしく生きる未来。

訪問看護師は、言葉にならない思いを聴き取り、
目標という形にし、毎回の支援の中で一歩ずつ実現していきます。

それが、精神訪問看護の「支援計画」が持つ、本当の価値です。

 

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