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月別アーカイブ: 2025年9月

ぽのニュース~オススメのリフレッシュ法~

皆さんこんにちは。

【訪問看護ステーションぽの】の更新担当の中西です。

 

~オススメのリフレッシュ法~

 

1|リフレッシュの基本原則(3つだけ)

  1. 短く・頻繁に:1回完璧より、1日3回の“小さな回復”が効く。

  2. 五感を使う:視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の刺激で自律神経を整える。

  3. 安全と同意:体調・既往・薬の副作用を踏まえ、無理せず、イヤなことはしない。


2|時間別:1分・3分・10分・30分メニュー ⏱️

1分:超マイクロ回復

  • 4-6呼吸:4秒吸って6秒吐く×6回。手のひらをお腹に当てて腹式で。

  • 冷温刺激:冷たいタオルで頬を押さえる or ホットパックで肩を温める。

  • 姿勢リセット:壁にもたれて後頭部・肩甲骨・お尻・かかとを“壁ピタ”で30秒。

3分:五感スイッチ

  • 足裏グラウンディング:椅子に座り、足裏で床を感じる→つま先上下→かかと上下。

  • “5-4-3-2-1”:見える5つ・触れる4つ・聞こえる3つ・嗅げる2つ・味わえる1つを意識して言語化。

  • 香りの一滴:ラベンダー/オレンジなどをコットンに1滴(直接皮膚は避ける)。

10分:軽運動 or クリエイティブ

  • イス・ヨガ3ポーズ:首ゆっくり回し→肩すくめ→座位の前屈。呼吸と同期。

  • リズム散歩:家の中や玄関先で“100歩カウント散歩”。

  • 塗り絵・折り紙:手を動かし“できた”感を得る。

30分:深めのリセット

  • 光 + 散歩:ベランダや玄関先で日光5分→近所をゆっくり20分。

  • 生活リズム回復セット:洗濯物たたみ10分→水分補給→軽い片付け10分。

  • 音楽浴:好きな曲3~5曲を“耳だけに集中”して聴く(ながら作業NG)。


3|症状別のコツ

不安・パニック傾向

  • 吐く息長めの呼吸、冷感(保冷剤を手首に)で鎮静。

  • 身体スキャン:足→ふくらはぎ→太もも…と力を入れて抜く。

  • ⚠️カフェイン・刺激的ニュースは回避。

抑うつ・意欲低下

  • 超小目標:ベッドから足を下ろす→洗顔→窓を開ける(3ステップでOK)。

  • 朝光:カーテン全開、照度UP。

  • 達成ログ:できたこと1つをスマホメモに

不眠・リズム乱れ

  • 就寝90分前の“デジタル日没”:画面オフ→湯温40℃×10分の入浴→部屋暗め。

  • 日中活動:昼寝は20分まで。夕方以降の仮眠はNG。

幻覚・妄想が気になる時

  • 現実検討の合言葉:今“ここ”で確かな3つ(触れる物/時刻/今日の予定)。

  • 音の使い分け:単純な環境音(雨音・ホワイトノイズ)で過剰刺激を遮断。

  • ⚠️追及・論破は避け、安心・安全の土台づくりを優先。

強迫・ルミネーション(反芻思考)

  • タイムボックス:悩む時間を“5分”に枠取り→終わったら“行動”へ。

  • 手仕事:洗い物・拭き掃除・折りたたみなど“完了感”のある単純作業。


4|おうちでできる“五感キット”の作り方

  • 触覚:小さなマッサージボール/やわらかストレスボール

  • 嗅覚:ラベンダー/柑橘のコットンボトル(皮膚直付けは避ける)

  • 視覚:小型の自然写真カード(海・森・空)

  • 聴覚:お気に入り曲の“短い”プレイリスト(3~5曲)

  • 味覚:口どけよい飴/カフェインレスティー
    透明ポーチにまとめ、テーブル/玄関の“見える場所”へ。探さず使えるのがコツ。


5|屋外アイデア(安全第一で)‍♀️️

  • “家の敷地から一歩”散歩:門の外まで行って深呼吸→戻るでもOK。

  • マイクロ自然:ベランダ菜園/観葉植物の水やり。

  • 目的付き外出:ポスト投函・コンビニで水購入など“1タスク”だけ。


6|家族ができる“そっと支える”声かけ例 ️

  • 選択肢で促す:「今は音楽とお茶、どっちにする?」

  • 具体で短く:「いま一緒に3回だけ深呼吸しよっか」

  • 結果より過程を称賛:「玄関まで出たのナイス。続きはまたでOK」

  • 境界も大切:「無理はしない。困ったら合言葉“ヘルプ”で」


7|訪問看護師の“現場リフレッシュ”(セルフケア)

  • 入室前リセット30秒:肩すくめ→吐く息長め→“私は今ここにいる”と自分に言う。

  • 退室後のデブリーフ:気づき1行メモ、感情ラベル付け(驚き/不安/安堵など)。

  • 移動中の保護:ニュース/SNS断ちの“無音時間”を1区間。

  • 週1の補給:同僚とケース振り返り15分、成功の要因言語化。


8|“やらない方がよいこと”チェックリスト

  • 体調不良時の無理な運動・長風呂

  • 断食・極端な食制限(薬の飲み方に影響)

  • アルコールでの気分転換

  • 夜更かしを“ご褒美”にする

  • 不快刺激(ホラー/攻撃的ニュース)を寝る前に見る


9|1週間の“軽運動+五感”サンプル計画 ️

曜日
カーテン全開+深呼吸 100歩散歩 音楽3曲でクールダウン
白湯1杯 イス・ヨガ3ポーズ 足湯10分
好きな香り1滴 ベランダ植物チェック 4-6呼吸×6
窓辺で日光5分 片付け10分 ハーブティー
“できたこと”1行メモ 郵便投函 ストレッチ10分
軽い掃除 家族とお茶時間 デジタル日没
好きな朝食 近所をゆっくり散歩 入浴→就寝前読書15分

10|“いざという時”のミニ危機プラン ⚠️

  • サイン:眠れない2日連続/食事2食以上抜く/不安10点満点中7以上

  • 最初の一手:4-6呼吸→冷温刺激→連絡先カードを確認

  • 連絡順:家族→訪問看護→主治医/クリニック→夜間窓口

  • 安全:ベランダ/浴室の鍵確認、刺激になる動画/掲示は一旦オフ


11|“効いたかどうか”を見える化:超シンプル記録 ️

  • やったこと:□呼吸 □散歩 □音楽 □香り □片付け ほか

  • 前の気分(0~10):____ → 後の気分:____

  • 一言メモ:「夕方は音楽が合う」「朝は陽ざしで回復」など
    → 1週間で**“自分に合う時間帯・方法”**が見えてくる。


12|Q&A よくある悩み

Q. 続かない…
A. “短く・同じ時間・同じ場所”が続くコツ。朝の窓辺や歯磨き後に1分を紐づけ。
Q. 効果がわからない
A. 気分スコアを“前後で数字化”。3→5なら十分な前進!
Q. 外に出るのが怖い
A. “玄関まで”→“門まで”→“家の前5歩”の段階表
を作る。達成ごとに◎をつける。


まとめ ✨

リフレッシュは「気合い」ではなく**“仕組み”**です。

  • 短く頻繁に

  • 五感を使い

  • 安全と同意を大切に

訪問看護の場だからこそ、その人の暮らしの文脈に合わせた“続く工夫”ができます。今日、このあと1分の呼吸から始めてみましょう。小さな回復の積み重ねが、再燃予防と生活満足度を着実に引き上げます

 

 


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ぽのニュース~変遷~

皆さんこんにちは。

【訪問看護ステーションぽの】の更新担当の中西です。

 

~変遷~

1|なぜ今、精神訪問看護なのか?

かつて日本の精神保健は長期入院・入所に依存しがちでした。しかし「地域移行」「地域定着」を掲げ、住み慣れた地域で、自分らしく暮らすことを支える潮流が強まり、その中核として精神訪問看護が注目されてきました。訪問看護は、症状の自己管理支援、服薬アドヒアランスの支援、家族支援、危機介入、生活リズムの再構築、再入院の予防など、医療と生活の間をつなぐ橋渡しの役割を担います。


2|~1990年代:病院中心から地域の芽生えへ 🌱

  • 背景:長期入院が多く、地域の受け皿は限定的。退院後の支援が細切れで、家族負担が過大になりやすい構造でした。

  • 訪問看護の原型:外来看護・デイケア・作業所・グループホーム等が増え始め、**「病院の外で支える看護」**の必要性が明確に。

  • 課題:症状変動の早期察知や再燃予防の「日常的モニタリング」を、医療として継続的に担う枠組みが未成熟でした。


3|2000年代:制度整備と事業化の進展 🏗️

  • 診療報酬の評価が進む:精神科領域の訪問看護が制度上明確に位置づけられ、医療保険での継続支援が可能に。

  • 連携の地盤作り:精神科外来・地域包括・相談支援・就労支援との多職種連携が進行。退院調整から地域定着までをシームレスにつなぐ動きが広がります。

  • 事業者視点の転換:ボランタリーな「善意」に依存せず、品質と継続性を前提にした事業運営(人員配置・記録・安全管理・研修)が当たり前に。

この時期に洗練された実践の例

  • 服薬セルフマネジメント支援(服用スケジュール・副作用の観察・主治医共有)

  • 生活リズムの再構築(睡眠・食事・社会参加計画)

  • 家族支援(負担軽減、危機時対応、関わりの工夫)

  • 早期警戒サインの共有(WRAP等のリカバリープラン活用)


4|2010年代:地域移行の加速、ACT/アウトリーチの拡大 🚶‍♀️🤝

  • 地域移行・定着の推進で、長期入院者の退院支援が加速。退院後の初期不安定期を切れ目なく支える訪問看護の需要が伸長。

  • アウトリーチの高度化:ACT(包括型地域生活支援)など、多職種チームによる積極的・継続的支援モデルが普及。危機介入、服薬調整支援、社会資源の橋渡しが一体で提供されます。

  • ピアとの協働:当事者の経験知を活かすピアサポーターと看護職が協働し、リカバリー志向(希望・強みベース)の支援計画が主流化。


5|2020年代前半:コロナ禍で再定義された“生活密着型医療” 😷➡️💡

  • 面接制限と孤立リスク:通所・外来の利用が揺らぎ、家庭内での不安・生活リズムの乱れが顕在化。

  • ハイブリッド化:対面訪問を軸に、電話・オンライン面談を組み合わせたハイブリッド支援が定着。服薬確認、睡眠・気分のチェック、危機介入の初動を遠隔で繋ぎます。

  • 連携のスピードアップ:医療・行政・地域資源との情報共有が高速化し、再燃兆候→初期介入→医師連絡→再安定化の流れが洗練。


6|実践の進化:ケアは“指示”から“共同の自己管理”へ 🧭

:服薬・受診の「指導」や「見守り」中心
:本人と共に計画を作り、**自己管理力(Self-Management)**を育てる伴走へ

  • リカバリープラン:希望・価値・役割の明確化→週次のミニ目標設計

  • 早期警戒サイン表:睡眠・食欲・思考・対人の変化を見える化

  • 服薬アドヒアランス:副作用セルフモニタリング、飲み忘れ対策、医師へのフィードバック

  • 危機対応プロトコル:連絡先・受診先・家族対応・安全確保手順を事前合意

  • 家族支援:関わりの工夫(過干渉/放任の振り幅調整)、家族自身のセルフケア


7|人材とチームの変遷:専門性の統合とスーパービジョン 👥

  • 多職種チーム:看護師・精神保健福祉士・作業療法士・薬剤師・相談支援・就労支援・住まい支援が同じ目標地図で協働。

  • ピアスタッフ:訪問帯同やグループ活動で希望のロールモデルを提示。

  • スーパービジョン:ケース検討・倫理カンファ・振り返りを定例化し、臨床推論と安全を両立。

  • バーンアウト対策:危機対応の心理的負荷に備え、デブリーフィング・EAP・勤務設計を整備。


8|テクノロジーの導入:可視化と迅速性を高める 🖥️📱

  • 電子記録・モバイル入力:訪問直後に記録→チームで共有→危険サインを自動検知。

  • ダッシュボード化:入院回避率、受診遵守率、睡眠・服薬記録、社会参加回数などアウトカム指標を見える化。

  • 遠隔連携:オンライン家族面談、服薬ボックスやスケジュールアプリの活用。

  • 安全配慮:行先共有、SOSボタン、個人情報保護のアクセス権限管理は必須。


9|事業運営の進化:KPIと品質保証の時代 📊✅

創業〜立ち上げ期

  • 医療機関・相談支援・自治体との関係構築/紹介ルートの確立

  • 人材採用・教育・記録様式の標準化

拡大・安定期

  • KPI例:新規受入件数、定着率、急性増悪の未然防止率、再入院率、訪問後48h以内の記録完了率、家族面談実施率、連携会議参加率

  • 品質指標:本人参加型計画率、危機プラン作成率、ピア同席率、情報共有の平均所要時間、ヒヤリハット報告率

  • 教育と安全:リスクアセスメント研修、暴力リスク対応、感染対策、夜間・単独訪問ルール


10|よくある臨床テーマと最新の視点 🧩

  • 統合失調症:陰性症状・認知機能の支援(日課化・小さな成功体験の積み上げ)

  • 気分障害:日内変動と睡眠衛生、活動記録を用いた負荷調整

  • 不安・PTSD:曝露や段階的外出の伴走、安心の合意形成

  • 依存症・併存症:多機関連携と再燃予防計画、害の低減(Harm Reduction)

  • 発達特性を併せ持つ場合:感覚過敏・時間管理・コミュニケーションの環境調整

  • 家族支援:感情表出(EE)を下げる関わり方、**“ほどよい距離”**の設計


11|これからの展望:リカバリー×アウトカム×地域共生へ 🚀

  • 本人主体のゴールを中心に、「できること」を増やす支援へ。

  • アウトカムと質の可視化:再入院率・受診遵守・生活満足度・社会参加指標・就労/就学継続などをチームで追う

  • ハイブリッド支援の高度化:対面+遠隔で初期兆候を逃さない仕組みづくり。

  • 地域共生:住まい・仕事・居場所を束ね、“医療+くらし”の統合を推進。

  • スタッフウェルビーイング:燃え尽き予防と学習文化の構築が、結果的に利用者アウトカムを最大化します。


最後に✍️

精神訪問看護は、病院の外へと医療を拡張し、地域で暮らし続ける力を支えるインフラとして進化してきました。制度の整備、チーム医療、リカバリー志向、テクノロジーの活用――そのすべてが重なり合い、今や**「再燃を防ぎ、希望に沿った暮らしを共につくる」実践へ。これからはアウトカムの可視化と働きやすい現場**が鍵。小さな改善の積み重ねが、地域の安心を大きく育てます🌈

 

 

 


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